一般質問のご紹介(2023年9月定例会) 未来の水泳環境を考える~学校施設とプール授業の在り方について~

定例会3日目に一般質問します! 


毎度のことですが、登壇原稿の読み上げは、聞きづらい箇所も多いと思いますので、

よろしければ、文字でもご覧ください。 


一般質問の登壇原稿と、関連するリンク等をご紹介します。



1 プールに関する施策について 


(1)学校施設のプール・プール授業の在り方を検討することについて 

 6月定例会で、コミュニティ・センターのプールに関するご答弁の中で、市長から、プールや体育館等の施設機能に関しては、学校施設との一体化について検討していくという方向性を新都市再生ビジョンの中で示している と説明があった。

さらに、生活環境部調整担当部長より、公共施設全体のプールの在り方やコミュニティ・センターの機能の在り方を検討する ということが説明された。 

また、新都市再生ビジョンの中で、「老朽化した各校のプールについては、地域にも開放する屋内プールとすることや集約化を検討します」という記載がある。 

 現在、市立学校では、各学校にある屋外プールを使用して授業が行われているが、現状のプール授業に関しては、熱中症のリスクがあること、天候不順によって授業時間の確保がしにくいこと、授業準備のための教員の負担が多いこと、水泳指導は特に専門性が高く個々の児童の能力に合わせて適切に水泳指導することは難易度が高いこと、授業を行うにあたって大人の手が不足していることなど、様々な課題があることが報道されている。 


Q1 公共施設全体のプールの在り方を検討するにあたっては、現在のプール授業の環境改善も視野に入れ、学校施設のプール・プール授業の在り方を同時に検討し、その結果を建て替え時や改修時に学校施設に反映させていく必要があるのではないか。考えをうかがう。 


💡世田谷区 「世田谷区立小学校プール施設のあり方の検討について」

https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kodomo/011/002/d00202775.html



(2)直近の建て替え予定の学校施設のプールについて

 新都市再生ビジョンで示されているように、直近の建替え予定の中原小学校は、来年度から建替えに向けた計画が始まるとされている。

仮に、今回私が求めている学校施設のプール・プール授業の在り方が検討されたとしても、中原小学校の建て替え計画には間に合わない現実もあると考える。 

その一方で、プールの有無は工事内容やその後の維持管理費に影響してくる。 


Q2 直近の建て替え予定の学校については、在り方の検討とは別に、複数の学校でのプール施設の共同利用や民間施設の活用の検討を早急に行う必要があるのではないか。 

Q3 同様のことを教育長にうかがう。 


💡ご参照

・三鷹市新都市再生ビジョン 

https://mitaka-e-book.actibookone.com/content/detail?param=eyJjb250ZW50TnVtIjoyNjAzMzh9&detailFlg=1&pNo=1



(3) 今後のプール授業について 

 適切な水泳場の確保が困難な場合、プール授業を行うことは必須ではなく、水辺の事故防止に関する座学のみ実施する学校や自治体も出始めている。 


Q4 子どもたちの泳力について、どのように把握しているのか。また、プール授業の継続について考えをうかがう。

 

💡ご参照

・埼玉県鴻巣市 「小・中学校プール施設の今後のあり方について」

https://www.city.kounosu.saitama.jp/site/konosu-education/2481.html



 プール授業を行う場所について、学校施設にあるプールではなく、全校で市営や民間の屋内プールで行うといった方針を示す自治体も出始めている。また、水泳指導についても、外部人材を活用し、現在の課題の解決につなげる取組みが始まっている。  


Q5 子どもたちの水泳環境の改善と先生方のプール授業を行うことに関する負担軽減の視点で、学校施設外の屋内プールでプール授業を行うことについて、教育長の考えをうかがう。 


Q6 プール授業については、人手と指導の面で不十分さを感じる。民間のインストラクターに水泳指導に加わってもらえるような取組みの必要性について、教育長の考えをうかがう。 


💡ご参照

・多摩市   「多摩市教育委員会だより 第81号(令和4年5月発行)」

https://www.city.tama.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/005/465/0405-81kyouikuiinkaidayori.pdf 

(NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230703/k10014117381000.html

日経 https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP646904_X21C22A2000000/ )



・葛飾区 「今後の水泳指導の実施方法に関する方針について」

https://www.city.katsushika.lg.jp/kosodate/1000057/1002475/1025545.html

(NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220729/k10013728981000.html )



 2023年2月には市内の教員による政策提言発表会があり、その発表会に関する資料(令和4年度 三鷹のこれからの教育を考えるワークショップ 資料集)を見ると、様々な提言がある中でプール授業に関する提言もあったと認識している。 


Q7 プール授業に関して、市内の教員はどのように考えていると捉えているのかうかがう。 


💡ご参照

https://www.city.mitaka.lg.jp/c_press/101/101481.html  (市HP「【報道発表】 市内の教員による政策提言発表会を開催します」)



💡公共施設のプール数は全国的にはどのような推移なの?  

・体育・スポーツ施設現況調査報告  令和5年3月 スポーツ庁 令和3年度体育・スポーツ施設現況調査

https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/toukei/chousa04/shisetsu/kekka/1368165.htm

(H30年度調査(R3と調査票の回収状況が同じくらい)も見ると、小・中学校の屋外・屋内プールなどの数を比べることができます。)



~市長・教育長・所管部長の説明~      

(いただいたご答弁より成田が要約しています) 


学校施設のプール・プールの授業の在り方の検討の必要性/複数の学校でのプール施設の共同利用や民間施設活用の検討の必要性について(Q1,Q2)


(市長) 学校施設の建替えや改修におけるプールの在り方について、単純にその機能を引き継ぐのではなく、時代に即した見直しが必須の視点と捉えている。プール授業は、国が示しているとおり、命に関わる重要な授業であると認識しているが、屋外プールでは熱中症のリスクや天候や水温による中止、教員への負担など、取り巻く環境は大きく変化していると考えている。屋内プールでの通年の授業や、複数の学校による共同利用、授業の改善、コミュニティ・センターと学校施設のプールの一体化など、ハード・ソフトの両面から課題を捉え直す必要があると考えている

 民間スポーツ施設の活用を含め、多様な選択肢の中から、経費面を含め、メリットやデメリットについて整理しつつ、利用者の視点に立って、プールの在り方について、今後、丁寧に検討を進めていきたいと考えている。一遍に学校の現在のプールがなくなるとかということではなくて、建替えのときにどのように考えるかや、民間で指導員がいる場合に先生に代わってもらうというようなことを教育委員会も検討していると聞いている。教育委員会とともに、検討を進めていきたいと思っている。



直近の建て替え予定の小学校におけるプールの在り方の早急な検討について(Q3)


(教育長) 直近の建替え予定の中原小学校のプールの在り方を考える上で水泳授業の在り方やコミュニティ・センターのプールの在り方も重要な要素であると認識している。子どもたちの授業状況や安全を最優先としつつ、市長部局と連携を図りながら、早急に方向性を定めていきたいと考えている。中原小学校の建替えスケジュールに支障のないように、市長部局と連携しながら、早急に検討を進めていきたい。つまり、建替えの前にちゃんと整理をしたいと考えている。



屋内プールでプール授業を行うことについて(Q5)


(教育長) 成田の指摘の通り、学校施設外のプールを活用した水泳指導を実施している自治体もあることは承知している。

 施設管理に伴う教員の負担軽減や、より専門的な指導による子どもたちへの教育効果、通年を通してプールを利用できることによる柔軟な教育計画の立案が可能となるなど、様々な効果が期待できると考えている。

 その一方で、各校からの移動距離や移動手段を考慮した場所の選定が必要なこと、外部利用に伴う必要予算等の調整・確保、教員の意向の考え方の把握を含めた校長会等との意見交換と合意形成など、検討課題も多いことではある。

だが、学校プールの在り方についての丁寧な議論が必要であると考えているので、検討を開始したいと思っている。



●民間のインストラクターによる水泳指導の必要性について(Q6)


(教育長)専門的な水泳指導のノウハウを有する民間のインストラクターと連携することで、水泳指導に係る教員の指導力の向上が期待できると考えている。

 その一方で、教育課程として行う水泳の授業は、あくまでも教員が主として行うものなので、教員の授業力向上が喫緊の課題だ。現在は、三鷹市公立小・中学校教育研究会体育部会(先生方の自主的な研究団体)を中心としながら授業改善に取り組んでいる。

今後は、必要に応じて民間のインストラクター等とも連携しながら、授業改善に取り組んでいきたい。



●子どもたちの泳力の把握、プール授業の継続について (Q4


(教育施策担当部長)子どもたちの泳力について、小・中学校ともに、平成29年告示の学習指導要領解説に記載された目標及び内容に即した授業を計画・実施する中で、各校工夫しながら、泳力の適切な把握、評価を行っている。

水泳運動系は、水中という特殊な環境での活動における浮力、水圧、抗力、揚力などを生かし、浮く、呼吸する、進むなどの課題を達成し、水に親しむ楽しさや喜びを味わうことのできる運動です。今後も、水に親しむ楽しさや喜びに触れる中で、水泳の基本の動きを身につけるとともに、自己の体力や技能に応じて泳ぐための安全確保に係る知識や、水辺での人命救助の方法や留意点もしっかり身につけられるよう、施設管理に伴う教員の負担軽減や、より専門的な指導による子どもたちへの教育効果等の課題を検討しつつ、指導を継続してまいりたいと考えている。



プール指導に関する市内教員の考えをどのように捉えているか(Q7)


(教育施策担当部長)先生方は授業を通しての水の中での運動の特性を体感し、水になれ親しんだり、課題を達成する楽しさに触れたりする子どもたちの様子を見てやりがいを感じている先生や、水難事故等防止の観点からも、水泳指導を実施することに意義を感じている先生が多いと認識している。

その一方で、成田の質問冒頭での指摘のとおり、熱中症のリスク、天候不順による授業時間の確保のしにくさ、水泳指導の専門性の高さ、個々の子どもたちの能力差等によって、指導の難しさを感じている先生方も一定数いると承知しているところだ。



~以下、再質問とご答弁 


(成田)

今回、新川中原コミュニティセンターのプールが使えない中で、五中のプールを活用してイベントが行われたということや、その第五中学校の可動式の屋根のあるプールを見学させていただいたこと、そして、これをもっと活用できないかと感じたことや、小学生の保護者の方から水泳授業の際にボランティアに入った際に人手が足りなくて大変そうだったというお話を伺う機会があり、今回の質問につながっている。

今回の質問にいただいた市側のご回答は、私の考えともかなり近いと認識している。検討を進めてほしい。


屋内プールについては、新都市再生ビジョンにその言葉がぽんと出てきているが、屋内プールはそもそもどの程度の金額がかかるのか。調べた内容をシェアする。


まず、調布市の調和小学校のプール開放事業。学校の施設の中にあるプールを一般にも開放している。令和5年度の予算で8,000万円弱かかっている。(←議会事務局調査係を通した調査より。)

現実的な数字を見ると安くはない。

また、学校施設含めた全体の建設費は35億円。(←議会事務局調査係を通した調査より。)

一般的に学校をつくるとなるともう少し金額は安いと思うので、屋内プールをつくることにより学校施設の建設費が高くなっているというふうに見受けられる。

💡調和小学校のプール開放事業➡ https://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1182994552977/ (調布市HPより)


次に、世田谷区。ちょうど今、小学校のプールの在り方を検討をしている。その資料によると、概算経費で、耐用年数65年としたライフサイクルコストを、屋外プールと屋内プールを比較したものが掲載されているが、屋内プールは、屋外プールの12倍かかるという、シビアな数字がある。

💡世田谷区 「世田谷区立小学校プール施設のあり方の検討について」➡https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kodomo/011/002/d00202775.html


屋内プールでのプール授業と市民開放事業を複合的に考えていく必要があるとは思うが、もしかしたら、学校のプール授業を主軸として屋内プールを考えていくというほうがよいのではないかと考えるが所見をうかがう。


(教育長)

プール指導については、やはり体育科の授業としてプールの指導というのは学習指導要領に規定されており、大事にする。それにしても課題があって、様々今、指導員の補助の問題や、副次的な問題だが教員の負担増というふうな面もある。また猛暑が続き、暑くてプールに入れないというような、プールについて深刻な問題が、ちょうど今発生してきている。

そういう中で、やはりプールの在り方というのを検討しなきやいけないと。そういった面で考えをときに、それぞれの学校で授業があるわけなので、理想的なプールを設置をしたいが、しかし、財政的な問題、それから、市民のご利用も考えたときにプール授業でどの程度の期間活用するのかということもある。

総合的に検討していく必要がある。拠点校として理想的なプールを設置するということもあるかもしれない。また、外部のプールの活用ということも検討にもあるだろう。

また、現場の先生方、それから、子どもたちの意見も聞くことも含め、検討、議論をしていかなければならないと思うので、今、一方的にこの段階でこうしたいとか、こうすべきだとかという話は控えたいが、検討は進めていく。


(成田)

先生方の施設管理とか、指導の課題とか、見学の子たちを見る余裕がないというような人手不足な側面もあり、各学校に屋内プールとか水泳指導をつけるとか、そういうことができればと思うが、なかなかそういうことができないというところで、検討をお願いしているというところだ。

市内の公共施設のプールの配置というのを考える際に、コミセンエリアや学園単位で考えないことが必要ではないかと思うが考えをうかがう。


(企画部長) 

今回のプールの問題というのは、市役所は縦割りになりがちだが、そこに横串を刺す視点というのは大事なのかなというふうに捉えているところだ。各所管、コミュニティ、スポーツ施設、教育と所管がまたがる。

一番大事なのは、利用者視点に立って、どういった最適な施設運営ができるのか、施設を配置したらいいのかということを考えることだと思っている。丁寧な検討を進める中でそういった議論を深めて、答えを導き出したい。


(成田) 

三鷹市においては、コミセンの住区や学園単位ということに引っ張られがちだ。それで適切な数ではなく例えば多くつくり過ぎてしまうとか、プールのニーズをいかしたものにならない可能性への懸念があることからの発言だ。


最後に、この在り方を検討していたいただく中で考慮が必要だと考えている点について、

1つめに、住区や学園単位で考えないことがポイントになるということ。

2つめに、プールの在り方については、ケース別の検討が必要だということ。

世田谷区の資料には、民間施設を利用した場合とか、様々なことをミックスしたケースが3つ載っており、共同利用や自校につくる場合などケース別に考えていただくのが必要だと思う。単純に全てよいとなるようなケースがないということがわかり、効果とともに課題が出てくる案件だと思う。

3つめに、学校施設の話なので、先ほど教育長からご答弁もいただいたが、子どもや保護者、教員の声を、意見を反映させること。

以上申し上げ、質問を終わります。


(再質問や市側の説明などを追記しました 2023.9.21)